輝く月が照らす夜 · 畠山美由紀
日本神話に登場する月と夜を司る神ツクヨミは、イザナギが禊(みそぎ)をした際に、右目を洗った時に生まれた神です。禊とは清流で穢(けが)れを洗い流す神聖な行為で、同じように生まれた神々として左目を洗った際に産まれたアマテラス、鼻を洗った際に産まれた荒神スサノオがいて、この三柱は特に尊い神として三貴子(さんきし)と呼ばれています。
『日本書紀』では食物神ウケモチノカミを斬り殺す穀物起源神話に登場しますが、『古事記』において同様の行為をしたのはスサノオであり、ツクヨミとスサノオが同じ荒神の性質を見せています。
神名の意義は、「月読(つくよみ)」は月齢を数える意で、暦に関係する名とする説がある。「月夜見(つくよみ)」は、暗い夜を照らすことによる名とする説や、「月夜」を「月」と同義、「見」を神霊の意として、月の神霊の意と捉える説がある。
『万葉集』では、月そのものを指してツクヨミと称しており、「月読」(4・670、4・671、7・1075)「月夜見」(13・3245)「月余美」(15・3599、15・3622)と表記されている。
今夜は中秋の名月ということで、月読命を取り上げてみました。この神さまは夜、海原、食物、暦を司るようです。この神名は万葉集にも登場しています。
つくよみの ひかりをきよみ
かみしまの
いそまのうらゆ ふなですわれは
( 月の光が清らかなので、神島の磯の浦から船出するよ。私は。)
月に照らされながらの夜の船出。流るるままにまかせて。幻想的です。
